日常我々が目にする物質の性質は、物質中の電子の 運動によりつくられている。量子力学の教えるところに よれば、電子の運動はシュレディンガー方程式を 解くことにより解明される。そこで計算機の力を借りて 一切の近似的な取り扱いをせずにシュレディンガー方程式を 忠実に解くことによって物質の電子状態や物性を研究する手法を第一原理に 基づく研究または第一原理計算という。しかしながら電子間にはクーロン相互作用 が働いており、この取り扱いは計算機を用いたとしても 大変に難しい問題である。第一原理計算の手法では多くの場合 密度汎関数理論 による取り扱い（近似）が採用されている。 第一原理計算は物質の個性を正確に評価し構成元素による 違い理解する唯一の手法として固体物理の分野では 重要である。